君の花嫁 ~シリーズ番外編 恋のライバルに宣戦布告されました!?~
「あれくらい可愛ければ自信が持てるのかなぁ……」
自分でも気がつている。
このモヤモヤやざわざわ感は、日葵ちゃんに対する嫉妬だけではない。
私、自分に自信がないんだ。
伊織の隣に立つのは、日葵ちゃんの様に可愛い女の子がふさわしい。
そう感じている。
きっと、日葵ちゃんの方が見劣りしないし、美男美女って感じで絵になるんだろう。
その点私は……。
「自分で言うのもなんだけど、普通だもんな……」
普通の、よくいる女子高生。
漫画や小説のヒロインには日葵ちゃんの方が似合っている。
伊織が私を選んでくれたからと言って、自信が持てるのかと言えばそれは別の話だ。
だから、日葵ちゃんが怖い。
女として、負けているところが多いから怖いんだ。
はぁぁと深いため息をついて肩を落とした。
「ゲッ、ペンキが足りないぞ」
「確か、生徒会に備品発注してたよな」
「誰か取ってきてー」
そんな声がして、私はパッと手を上げる。
「私取ってくるよ」
「ありがとう」
気分を変えるため、立候補して教室から出る。
白のペンキを生徒会室の備品倉庫から貰い、戻っている時に日葵ちゃんと会ってしまった。
男子数人と一緒に挨拶回りをしているようだ。
どうしてこうタイミングよく会ってしまうかな……。
「綾川先輩、こんにちは」
「こんにちは」
「先輩もぜひ、明日のミスコンは私に投票してくださいね」
「あぁ、うん……」
ふふふと笑う日葵ちゃんに笑顔を返す。
「そうだ、先輩」
日葵ちゃんは私にそっと顔を寄せ、耳打ちをする。
「私、明日、伊織先輩に告白しようと思います」
「えっ」
日葵ちゃんは照れたように笑った。
「そんなわけで、よろしくです」
そう言って通り過ぎて行った。
告白!? なにがよろしくなの!?
急なことで頭がパニックになる。
だって、日葵ちゃんは私と伊織が付き合っている(ことになっている)って知っているよね?
それでも告白をするっていうの!?
告白をして、自分に見込みがあるって思っているってこと!?
「どういうことよ……」
訳が分からなくて、頭が痛くなってきた……。