君の花嫁 ~シリーズ番外編 恋のライバルに宣戦布告されました!?~
私は頭を抱えた。話すほどに不安感が襲ってくる。
「伊織様はモテますからね」
「それは重々承知です。でも、旦那が他の女の子に言い寄られているのを見て、普通でいられる人なんていますか!? いくら公表していないからって……。一応、付き合っていることになっているのに……」
風間さんは少し考える様子を見せてから言った。
「たぶん、その子は相当自分に自信があるんでしょうね。要はマウンティングですよ、そういうの女子は多いでしょう? きっとその子は今までも同じような経験があり、勝って来た」
「同じようなってことは、彼女がいる男子を好きになってきたと……?」
「例えばですけどね。モテてきたから、恋愛ごとで負けたことがないんでしょう」
お茶を飲みながら風間さんは分析する。
「でも伊織様はその日葵さんにはなびいてないんですよね?」
「うん、そうみたい」
伊織から日葵ちゃんの話は聞いたことないし、必要以上に接触は持っていない様子だ。
「なら、不安になることなんて何もないじゃないですか。伊織様は真琴様だけですよ」
「それはわかっているけど……」
「伊織様から言葉でほしいですか?」
伊織に真琴だけだと言葉で言ってほしい?
……うーん、言ってほしい気はするけどそれだけではない気がする。
「たぶん、根本的な所で真琴様はご自分に自信がないんだと思います。かつ、恋愛ごとに関しては。だから尚更、日葵さんのようにぐいぐい来るタイプが次に何をしでかすかわからなくて怖いんじゃないですか?」
「それは、あります」
「でもね、意外と日葵さんみたいなタイプは単純です。虚勢を張っているだけでもあるでしょうし。真琴様が不安がる程の子ではありません」
風間さんがキッパリと言い切った。
「はい」
なんだろう、風間さんが言い切ってくれたことで少しスッキリした。
「なんか、落ち着きました」
そう笑うと、風間さんも微笑んだ。
「こういう話って、友達や同級生と話すのも楽しいけど、大人に話すことで安心や自信になることもありますからね」
いつでも話してくださいと自分の胸をポンと叩いた。