君の花嫁    ~シリーズ番外編 恋のライバルに宣戦布告されました!?~


「これ、うちのクラスの出し物ね」
「何? これ」

私は友達の薫が渡してきたプリントをマジマジと見る。
家庭の事情で休学扱いになっていたが、この秋からまた復学した。
薫もクラスの友達たちも喜んでくれて、やっといつもの日常が戻ってきた。
そして、昼休みに学食でご飯を食べていると薫が、「そうそう」とプリントを見せてくれたのだ。
そこには『第95回 鳳凰祭』と書かれてある。

「鳳凰祭? 文化祭があるの?」
「うん、毎年この時期にあるの。で、今年のうちのクラスはこれをやることに決定したからね」

薫の指した所を見ると『アリス喫茶』とあった。

「アリス? アリスってあの不思議の国のアリスのこと?」
「そう。教室で女子はアリス、男子はウサギとかの格好をして接客するの」

薫はそう言って、クラスの班分けが書いてあるプリントも出した。
班は3つに分かれていた。
どれどれ、私は……。

「接客班? ということは、アリスの格好するの?」

驚いて目を丸くする。
アリスってあのフリフリの可愛い服だよね。
あれを着るの!?
想像しただけでなんだか恥ずかしい。

「仕方ないでしょ。真琴、いつ復学するか分からなかったし。ちなみに、私は衣装班。接客班の子達の衣装を作るのよ」

他は調理班とある。当日の飲み物やお菓子を作って出すようだ。

「どうしても嫌なら調理班か衣装班の誰かと交換になるけど」

そう言われて私は頭を抱えた。
アリスの格好も恥ずかしいけど、衣装を作ったりお菓子を作ったりすることはさらに難しい。
裁縫は出来るけど、服なんて作ったことないし、お菓子だって作ったことない。
ここは素直に接客をした方が、みんなの迷惑にならないだろうな。
そう判断して、素直に接客することに決めた。






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