君の花嫁    ~シリーズ番外編 恋のライバルに宣戦布告されました!?~


スタンプラリーのチラシを持って追いかけたけれど、ポイント地点に2人の姿はなかった。
先生に聞いても来ていないと言うし……。

「純粋にゲームをしているわけではないのね。なら、どこに行っちゃったんだろう……」

周りをキョロキョロしても見当たらない。
あの2人なら目立つからどこにいてもわかりそうなものだけど。

探しながら、薫や肇君、クラスメイトに2人を見かけなかったか聞くが首を傾げるばかり。
見かけたと言われた場所へ行っても、すでに2人はいなかった。
あとは……。
階段を昇っていって、屋上に出る。
屋上は飲食スペースになっており、生徒が数人いた。
その先に……。

「いた……」

ベンチに座って楽しそうに話す日葵ちゃんと伊織の姿があった。
何を話しているのかは聞こえない。
ゆっくりと近づくと、日葵ちゃんが私に気が付いた。

「あ、綾川先輩。じゃぁ、私行きますね。またコンテストの時に」
「あぁ」

日葵ちゃんは伊織に手を振って離れた。
私にもニコッと微笑んで軽く会釈して通り過ぎる。

「……。ずいぶんと楽しそうだったね」

そう言いながら伊織の隣に座ると「そうか?」と言われた。
そうか?って……。
私待たされていたのに……。少しムッとした気持ちになる。

「結構探したんだよ」
「待たせてごめん。話があるって言われたからさ」
「え……、なに話したの?」
「いや……」
「言って」

ドキッとする。まさか……。

「好きだって言われた」
「やっぱり……」

言いにくそうに口を開いた伊織は、私の反応に目を丸くした。

「知ってたのか?」
「気が付いていなかったのは伊織くらいじゃないの?」

自然と口がとんがってふて腐れた様な顔になってしまう。
伊織は苦笑しながら、私の頬を軽く突っついた。

「そんな顔するな。断ったんだから」
「うん……」

そうだよね、もちろん断ってくれたんだね。
伊織の口から断ったと聞いて、安堵でホッとする。
それにしては、通り過ぎるときの日葵ちゃんの微笑みが妙に気になる……。

「それだけ?」
「あぁ……、うん」

歯切れの悪い言い方だったが、それ以上は口を閉ざしてしまったため聞けなかった。




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