君の花嫁 ~シリーズ番外編 恋のライバルに宣戦布告されました!?~
「意味が……わからない。だって伊織、文化祭のとき、そんな話しなかったじゃない。わかってたなら、一言教えてくれても良かったんじゃないの?」
「俺も驚いて、頭の整理がつかなかったんだ」
「だからって……」
「真琴様」
混乱する私に、風間さんが座るよう促した。
「川口さんは伊織様に告白して振られています。しかし、それ以前に川口さんは伊織様の会社Seasonsのモデルに応募されていたんです」
Seasonsとは伊織のウエディング会社の名前だ。
「文化祭の日、告白はもちろん断った。でもその時、うちの会社のモデルに合格したからこれからよろしくお願いしますと言われたんだ」
「伊織は日葵ちゃんがモデルに起用されたことは知らなかったの?」
「モデルの選定は他の社員に任せてたから……」
じゃぁ、伊織の知らないところで日葵ちゃんは合格してたってこと?
だとしても、なんだか嫌な気持ちになってしまう。
「真琴様、お気持ちはわかります。でも、伊織様が告白された件と、モデルの件は別と考えてもらえませんか?」
「そう言われても……」
「ビジネスとして考えると、川口さんをモデルとして起用してからホームページのアクセス数は格段に上がりました。川口さんが着たドレスを試着したいという花嫁も増えています」
そう言われると、グッと言葉に詰まる。
「真琴が嫌がるだろうなと思って、彼女の契約は今年いっぱいにしたんだ。嫌だろうけど、あとだけ少し我慢してもらえないか?」
「……わかってるけど……」
仕事のことだと言われると、何も言えなくなってしまう。
ただ、嫌だ嫌だと駄々をこねるのは違うとわかっている。
でも、胸が苦しくなるのは仕方ないでしょう?
私はそれ以上、言葉が出てこなくなりリビングを後にした。