君の花嫁 ~シリーズ番外編 恋のライバルに宣戦布告されました!?~
風間さんに事情を説明すると、笑顔で送り出してくれた。
薫の家の迎えの車に乗り込むと、そのままコンビニへ向かった。
「お菓子や飲み物、たくさん買おうよ」
「うんうん。あ、これ美味しいよ」
たくさんお菓子や飲み物を買い込んだ。
こういうの久々でワクワクする。
薫の家は学校や繁華街に比較的近い場所にあった。
薫の家を見て、口をあんぐりとあける。
「ここ!?」
「このマンションの最上階がうち。下は親の会社のオフィスが入っているのよ」
薫の家は上が住宅、下がオフィスなどが入っている高級タワーマンションだった。
「ここ、有名人とかばかりが住んでるってよく聞く所だよね……。その最上階!?」
「眺めだけはいいよ~」
薫って飄々としているけど、本当にお嬢様なんだなぁ。
改めてそう感じながら、エレベーターであっという間に最上階に到着した。
部屋の中も、マンションとは思えないほど広い。
「ここが私の部屋。今部屋着渡すから着替えなよ」
「ありがとう」
薫の部屋も広く、漫画や縫いぐるみが多数あった。
「薫、縫いぐるみが好きなの?」
「あぁ、これ自分で作ったんだ」
「ええっ!?」
ベットや棚に飾られている縫いぐるみを手にとって驚く。
結構クオリティが高い。
「趣味のひとつよ」
「凄いね。将来はこういう仕事に向いてるね」
「やってみたいけど、家は継がなきゃだから趣味の範囲かな」
「そっか……」
薫は一人娘だ。
事業を継がなければならないのだろう。
余計なことを言ってしまったかな。
「気にしないで。趣味でやるのが一番気楽で楽しいのよ」
ふふっと笑う。
薫には薫の事情がある。
私はそれ以上は突っ込んだことは聞かなかった。
「夕飯は親が作っておいてくれたご飯があるからそれ食べよう」
「ありがとう」
広いリビングに通されると、薫は冷蔵庫から作り置きのご飯を取り出し、温めて出してくれた。
「ご両親は仕事?」
「そう。ご飯は母が作っといてくれるの。雨宮家みたく常にお手伝いさんがいればいいんだけどね」
そう言ってニッと笑う。
「あ、でも最近は真琴が作ってるんだっけ?」
「たまにだよ。近頃は補講と文化祭でめっきりだし……」
ははっと苦笑いする。
「作るだけ偉いよ。私は料理はサッパリだもん」
薫はよしよしと私の頭を撫でる。
「いつも頑張ってて偉い」
「薫……」
「雨宮のことも、女心としては割り切りにくいよね」
話が伊織のことに移って、つい俯く。