君の花嫁 ~シリーズ番外編 恋のライバルに宣戦布告されました!?~
目が覚めると、保健室にいた。
見渡すと、誰もいない。窓の外は日が暮れていて、もう放課後になっていたのだと気が付いた。
ゆっくりと体を起こすと、横の棚に置かれた新聞に目が行った。
「私だってまだウエディングドレス着ていないのに……」
重いため息とともに、ポロッと涙が零れた。
すると、保健室の扉をコンコンと叩く音がして慌ててゴシゴシと拭う。
「真琴~、起きた?」
薫の声がして顔を上げると、薫がカーテンを開けて微笑んだ。
「やっぱり、泣いてる」
「だって……」
「まぁ、わかるよ。旦那が自分より先に他の女とウエディング写真撮っているんだからね」
薫は慰めるように頭を優しく撫でてくれる。
「雨宮も、驚いていた」
「え?」
「新聞のこと、知らなかったみたいね。この写真にも事情があるっぽくて」
「事情なんて……、そんなの……」
知ったこっちゃない、と言いたかったが言葉を飲み込む。
薫はわかっているという風に頷く。
「雨宮ね、新聞部に乗り込んで怒鳴ったんだよ。この記事書いたやつ、出て来いって」
「伊織が?」
はた目にはクールな伊織だが、実は温厚なタイプだ。怒鳴るなんて想像出来なかった。
「今すぐ、この記事を回収して破棄しろ。川口との関係も事実ではない。俺には真琴っていう大切な奴がいるんだよ、真琴を傷つけるやつは許さないって」
「伊織が?」
「初めて見たよ、あんな雨宮。まぁ、私的には川口日葵をモデルに起用しているお前が何言うかって感じだったけど」
薫はクスクスと笑いながら、新聞の写真を眺める。
「雨宮の真琴を想う気持ちは十分伝わった。あとは、真琴が雨宮とちゃんと話すことだよ」
「……うん」
薫は私の荷物を置いて、保健室を出て行った。
入れ替わりに、控えめに保健室がノックされる。
「真琴……、起きたか?」
カーテンの隙間から伊織の声がする。
伊織!
とっさに布団を頭からかぶってしまった。
「開けるよ」
カーテンが開けられて、伊織が入ってくる。
しかし、顔なんて見れない。布団の中でぎゅと目を閉じた。
「体調はどうだ?」
答えない私に、伊織の戸惑いを感じる。
「……これの件だけど」
カサカサと紙の音がして、伊織が新聞を開いているとわかった。
「説明させてほしい」
「……」
「先日、たまたま撮影を見に行った時に男のモデルが遅延で遅くなったんだ。カメラマンも次の仕事があるし、全体的に作業が押してて仕方なく、位置確認と試し撮りとして俺が代役で一枚撮ることになったんだ」
試し撮り? 代役で一枚だけ……?
伊織がモデルとして撮影をしていたわけではないってこと?
「代役だから、もちろん世に出るはずがない。すぐに消去されるはずだった。でも何故か学校とはいえ、こうして真琴の目に触れさせてしまった。俺のミスだ、ごめん」
布団からそっと覗くと、伊織が頭を下げていた。