君の花嫁 ~シリーズ番外編 恋のライバルに宣戦布告されました!?~
今、ブライダルエステって言った?
ポカンとしていると、店員さんはさらに続ける。
「でもうちの店は完璧に仕上げますので、ご心配いりませんよ」
「あ、ありがとうございます」
反射的にお礼を伝えるが、頭は混乱していた。
私今、ブライダルエステを受けているの?
どうして?
混乱しているうちに、施術が終わり、備え付けのお風呂でアロマのべたべたを落とす。
びっくりするくらいに、肌がしっとりつやつやになっていた。
「ほおおお~」
その出来栄えに、思わず感嘆の声が漏れる。
服に着替えを済ませると、今度は隣の部屋に連れて行かれた。そこでは女性の美容師さんが待ち構えており、髪に丁寧にトリートメントをしてくれて、髪もつるつるになった。
全身、仕上げてもらい、再びロビーへ行くと風間さんが待っていてくれた。
「終わりましたか」
「ブライダルエステって言ってましたけど」
「あ、ばれました?」
あははと笑う風間さんはどこか嬉しそう。
「私、まだ式の打ち合わせとか何もしていませんよ?」
「えぇ、ちゃんとしたお式はまだまだ先です。今日は、真琴様と伊織様のブライダル写真を撮ろうと思っているんです」
「ブライダル……写真……」
そう言われて、ハッとする。
日葵ちゃんと伊織が撮っていた写真。
あぁいう写真を今からとると言うこと?
「川口さんの件で真琴様にはお辛い気持ちにさせてしまったこと、お詫びいたします。これは、私と伊織様とのささやかなサプライズです。お気に召されないかもしれませんが……」
「嬉しい! 嬉しいです」
少し不安げに話す風間さんに、やや食い気味にそう言った。
日葵ちゃんと伊織の写真が頭から離れなかった。
ずっと、この隣は私なのにって思っていた。
羨ましかった。
だから、今日それが上書きされるのだと思うと嬉しかったし、何より……。
「伊織と写真撮れるんですよね?」
「はい。スタジオでお待ちですよ」
伊織とウエディング写真が撮れるなんて、とても嬉しかった。