干物のミカタ ~副社長! 今日から私はあなたの味方です!~
「そんな時、この渓谷の写真にすごく励まされて。今の会社を受けたのもこのSNSの影響なんですけど……」

 美琴は、スマートフォンの画面に目を落とす。

「だから、いつかこの人に『あなたのおかげで頑張れたよ』って伝えたくて」

 美琴は笑顔になって顔を上げた。

「そっか……」

 雅也は優しくほほ笑んでいる。

「でもまだ仕事は道半(みちなか)ばなんで……。まずはあの写真の滝つぼを見に来てみようって思ったら……滑落しちゃいました」

 美琴は滑り台の様に、するりと手を下に向けた後、あははと頭をかいた。

 雅也は、そんな美琴を静かに見つめている。


「仕事って何してるの?」

「えっと。グリーンレンタルの会社で……」

「え……グリーンレンタル……?」

「はい。観葉植物の……グリーンデザインインターナショナルってとこで」

 美琴が会社名を出した時、一瞬、雅也の目が泳いだ気がした。
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