干物のミカタ ~副社長! 今日から私はあなたの味方です!~
「ご存じですか? 私はずっとお客さんの所を回るメンテナンスっていう仕事をしてたんですけど、急に新規事業に異動になって。今は慣れない仕事にてんてこ舞いです」

 美琴は首をすくめ笑いながら話した。

 雅也の顔はほほ笑んでいるが、どこか目線はさまよっているようにも見える。


 ――どうしたんだろう?


「あの……。すみません。こんな話……」

 美琴の声に、雅也がはっとして振り返る。

「あ、ううん。聞かせてくれてありがとう」

 雅也はすぐに、さっきまでの笑顔に戻っていた。


「あの……。時々ボランティアされてるってことは、よくここに来られるんですか?」

 美琴はそっと雅也を見上げた。

「まぁ、時々ね……。そうだ! 今度一緒にやってみる? ボランティア!」

「え! 良いんですか?!」

「もちろん!」

 雅也は笑顔で大きく頷いた。
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