干物のミカタ ~副社長! 今日から私はあなたの味方です!~
「またまたすねちゃって。俊介、部長にも何か指示してやって」

「と、特別難しいので、お願いします」

 東が茶化して言い、それに滝山が悪ノリする。

「おまえらなぁ!」


 急に騒がしくなる室内で、副社長はその様子を微笑みながらしばらく見守っていたが、ふと部長に目を向けた。

「今回の装飾は、自社で扱っている植物だけでは、対応できない可能性があります。部長には、すぐに植物を手配できる卸問屋(おろしどんや)の選別をお願いできますか? できれば種類を多く持っている所が望ましいです」

「わかりました。今取引のある問屋も含めて、確認していきます」

 さっきまでふざけていた部長が、副社長には真面目な顔を見せる。


「部長。良かったですね!」

 にんまりと顔を覗き込んだ美琴のおでこを指で弾くと、部長もにんまりと笑った。



「こうやって、どんどん仲間になっていくんですね」

 美琴は準備に取りかかる面々を見ながら、副社長に笑いかける。

「はい」

 副社長も美琴を笑顔で見つめていた。
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