干物のミカタ ~副社長! 今日から私はあなたの味方です!~
「え?」

 雅也の声が小さくなり、美琴は首を傾げて聞き返した。

「ううん。なんでもない!」

 雅也はにっこりと笑って、ペットボトルのお茶に口をつける。


「そういえば、美琴ちゃんって彼氏いるの?」

 突然の質問に美琴はぶっと吹き出しそうになった。

「い、いないです、いないです!」

「ほんとに?」

「だ、だって、私なんて会社でのあだ名は“干物”ですよ。恋なんてお呼びでないというか、何というか……」

 もごもごと下を向く美琴の顔を雅也が覗き込む。


「そんなに可愛いのに? もったいないなぁ」

「は?! もう、水上さんは軽すぎます!」

 美琴は耳まで真っ赤になった顔をプイッとそっぽに向けた。


「本気なんだけどな……」

 雅也は膝に頬杖をついてほほ笑みながら、美琴を優しく見つめていた。
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