干物のミカタ ~副社長! 今日から私はあなたの味方です!~
 美琴がロッカーで着替えを済ませて戻ると、副社長はデスクのパソコンに向かって難しい顔をしていた。

「プロジェクト以外にも、仕事忙しいんですか?」

「まぁ、いろいろと……。面倒なこともありますから」

「ふーん」

 美琴はソファに腰かけて大きく伸びをする。

 肩周りがコキコキと鳴った。


「ここ最近、遅くまで作業してましたからね。疲れたでしょう?」

 副社長がキーボードから手を放し、美琴を見た。

「まぁ。ちょっと週末に労働したってのもありますけど……」

「労働?」

「知り合いに誘われて、ボランティアで草刈りをちょっと」

 美琴は頭に手をやってあははと照れ笑いする。

「そりゃ、ハードですね」

 副社長はふと立ち上がると、扉の前に歩いて行った。


「友野さんにだけ、特別に教えてあげますよ。僕のお気に入りの場所」

「え……?」

「ついてきてください」

 美琴は副社長に言われるがまま、エレベーターに乗り込んだ。
< 130 / 435 >

この作品をシェア

pagetop