干物のミカタ ~副社長! 今日から私はあなたの味方です!~
 ――あいつは、昔からそうだ……。


 朔人は、俊介の持っているものは何でも欲しがる子供だった。

 俊介もはじめはそれを可愛いと思っていたが、朔人の俊介への対抗心は年齢を重ねるごとにエスカレートしていった。


 器用で成績も優秀、一人で何でもできる手のかからない俊介と、甘ったれだが人に可愛がられる朔人。

 当然、朔人は両親から溺愛され、俊介は一人でいることが多くなっていった。


  ――弟を溺愛する父親にも、それをいいことに父親にべったりな弟にも吐き気がする。


  朔人が、俊介を見下すような態度を取り出したのは、その頃からだった。


 俊介は一旦大きく息を吐いて目を閉じると、さっき美琴と一緒に見た夜景を思い出していた。
 
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