干物のミカタ ~副社長! 今日から私はあなたの味方です!~
「トータルグリーンだよ。超大手! 私にも声かからないかなぁ」

 いかにも羨ましそうな表情を見せる。

「え……? トータル……?」

 美琴は思わず大きな声で聞き返した。


「そう。実はね……先にトータルに行った人がいて、私にもお声がかかった感じなの。給料の面も待遇も、こことはえらい違いだよ……」

 退職すると言った女性社員は、口元に手を当てながら笑顔でそっとささやいた。

「じゃあ干物ちゃん達も頑張ってね!」

 二人は美琴達に軽く手を上げると、スキップでもするかの様に食堂を出て行く。


「ねえ、滝山くん……」

「こ、これ。やばいんじゃない? きっと部長も知らないんだよね?」

「たぶん……しかもあの様子だと、行きたがってる子はまだいるよね」

「の、乗っ取り……?!」

「社内でプロジェクト潰ししてる間に、トータルに会社が潰されちゃうよ……」

 二人は顔を見合わせると、急いで食器を片付け駆け足で副社長室へと戻った。

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