干物のミカタ ～副社長！ 今日から私はあなたの味方です！～

もう一人の副社長

　――あれ……？　もしかして……。


　美琴の目に映ったのは、スーツを着た背の高い男性が数名の社員らしき人を後ろに従えて歩いてくる様子。

　目を凝らしてじっと見ていると、隣で東の低い声が聞こえた。


「あいつ。トータルの副社長……そして俺たちの……」

「え……？！」

　美琴は目を見開き、東の顔を見つめる。

「俺たちの、昔の仲間……かな」


　その言葉に美琴はバッと立ち上がり、もう一度目を凝らした。


　こちらに近づいてくるその人は、周りにいる人たちの視線を一気に集め、まるでオーラを纏(まと)ったような姿だ。

「そんな……」

　美琴の口から思わず言葉が漏れ出る。


　男性はトータルグリーンのブースではなく、真っすぐ美琴達のブースに向かって歩いて来た。

　そして複雑な表情で立ち尽くしている美琴を見つめて、眩(まばゆ)いほどの笑顔で笑いかけた。


「こんにちは。美琴ちゃん」

　その場にいた全員の視線は、一気に美琴に注がれた。