干物のミカタ ~副社長! 今日から私はあなたの味方です!~
 雅也の揺れる瞳がはっきりと見える。


 ――え……? 私、キスされる……の?


 美琴は頭が真っ白になり、思わずぎゅっと目を閉じて下を向いた。


 どれくらい時間が経っただろうか。

 しばらくして、美琴の肩を掴んでいた雅也の手から力が抜ける。

 そしてふっと耳元で寂しそうな雅也の吐息が聞こえ、雅也の頭が美琴の肩にストンと落ちた。


「ねえ、もし俺が美琴ちゃんの憧れているSNSの人だって言ったらどうする? 俺のこと好きになってくれる?」


 肩の上で普段の雅也とは全く違う、弱くて自信のない声が聞こえた。

 美琴は一瞬息を止めバッと目を開き、肩に寄りそう雅也の揺れる髪の毛を見つめる。


 ――やっぱり……水上さんだったの……?


 その時、バダバタとバックヤードに入ってくる大きな足音が聞こえた。
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