干物のミカタ ~副社長! 今日から私はあなたの味方です!~
 ――水上さんは何であんな事言ったの……? 本当に、SNSの人なの?


 あの日以降もSNSは更新されていない。

 美琴は目の前で見た雅也の憂いを含んだ瞳を思い出し、急にぼっと頬が熱くなる。


 ――副社長……なんて思ったのかな……。


 そっと窓際を振り返るが、逆光で副社長の表情は読み取れなかった。


 しばらくぼーっと眺めていると、遠くで電話の鳴る音が聞こえてくる。

「ほ、本当ですか?!」

 突然、滝山の大きな叫び声が部屋中に響き、美琴の意識は現実に引き戻された。


「タッキーどうしたの?」

 電話を切った滝山の後ろ姿に、東が呑気そうに声をかける。

「あ、あの……」

 滝山は口元をわなわなと震えさせながら、みんなをゆっくりと振り返った。


「イ、イベントの壁面装飾の打診がきました!」

「え?」

 一瞬、事態が呑み込めず誰もが口を閉ざし、美琴も首を傾げていた。


 が、次の瞬間……。

「ええ?!」

「本当か!」

 みんなは一斉に立ち上がり、滝山に詰め寄っていた。
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