干物のミカタ ~副社長! 今日から私はあなたの味方です!~
「ふーん」

 雅也はそんな二人の様子を、目線の端でとらえている。


「最後に……」

 急に会場内に大きな声が聞こえ、責任者という男性が前に立つ。


「皆さんもお聞き及びかも知れませんが、この映画は制作の段階で海外からも注目されている作品です」

 男性の声にさらに力が入る。

「イベントも大規模になることが予想されます。我々も良いものにしたい、という想いから、今回はこのようなコンペ形式にさせていただきました。選ばれた際には、皆さんの企業も一躍脚光を浴びる事と思われますので、ぜひ素晴らしい提案を、よろしくお願いします」

 気合の入った男性の挨拶に、思わず会場内から拍手がおきる。


「副社長、私なんだか感動しました! 気合入れて頑張りましょう!」

 美琴は目をキラキラさせながら拳を握り、何度も大きく頷いた。

「そうですね」

 副社長は再びそう言って、愛おしそうに美琴の横顔を見つめていた。



 説明会の帰りがけ、廊下で社員と話をしている雅也と一緒になる。

「面白そうな仕事だね」

 雅也は笑顔で副社長に声をかけた。
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