干物のミカタ ~副社長! 今日から私はあなたの味方です!~

見積りのゆくえ

 それから一週間、美琴達は見積もりの作成に時間を費やしていた。


「結構、項目が細かいのな……」

 東がぼやきながら、パソコンの画面にしかめっ面を向けた。

「ま、まぁ。それだけ大きな仕事って事ですかね」

 隣で資料を広げながら、滝山も画面を覗き込む。

「でも壁面装飾だけだろ? イベントをするわけでもないのに」


「まぁまぁ。こういうのは東さんが頼りなんですから! どうぞ」

 美琴は、東のデスクにコーヒーカップを置く。


 イベント会社から送られてきた見積りのフォーマットは、細かい項目まで指定されていて、通常なら計算しない部分まで、経費を算出しなければならなかった。


「よし! 保存っと。一旦休憩ー。あー目が痛い」

 東は椅子から立ち上がり、両手を上げて伸びをしながら副社長を見る。

「俊介。最終チェックはよろしくな。見積もりで弾かれたくないから、今回結構絞った数字にしてる」

「了解。共有のフォルダに保存されてるよな」

「んー。社内フォルダに入ってる」
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