干物のミカタ ~副社長! 今日から私はあなたの味方です!~
 東は肩を回しながらソファにドサッと座り、美琴と滝山も一緒に腰をかける。

 ソファでは先に、部長が渋い顔をしてノートパソコンを開いていた。


「部長って、完全にソファが定位置になってますよね」

「も、もう観念してデスク移動させたらいいのに……」

 美琴と滝山は、顔を見合わせて笑い声をあげた。


「あのなぁ。メンテ部も結構、問題山積みなんだよ」

 部長は、ぎろっと美琴を睨みつける。

「引き抜きの件ですか?」

「まぁな。相手もなかなか尻尾出さないんだよな。怪しい奴の顔は浮かんでるけど……」

 みんなは深く頷きつつ、一様に同じ顔を思い浮かべていた。


「あ、そう言えば。今回の話って上には報告してるんですか?」

 美琴の言葉に副社長が顔を上げた。

「まぁ壁面装飾の打診があったことは報告してるよ。結局、社長にも報告しないといけないからな」

 部長はそう言いながら、チラッと副社長の顔を見る。


「また、邪魔が入らなきゃ良いけど……」

 東がソファに寄りかかり、目を閉じたままつぶやいた。
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