干物のミカタ ~副社長! 今日から私はあなたの味方です!~
「あはは。やっぱり、聞かれたらまずいですよね?」

 朔人はにんまりと笑っている。

「何なんですか?!」

 美琴は朔人の顔を睨みつけた。

「そんな怖い顔しないで下さいよ。そうそう、これ」

 朔人はおもむろに、スマートフォンの画面を顔の横に掲げる。


「え……」

 その画面には、あの夜の美琴と副社長が見つめ合う姿が映し出されていた。


「な、なんでこんな写真が……」

「ですよねぇ。僕もびっくりしました。まさかあなたと兄さんが、こーんなに親密だったなんて」

 朔人は大げさに驚いて見せる。


「こ、これは別にそういう……」

「そういうことじゃないって言うんですか? そうですねぇ。僕も本当はラブシーンを期待してたんですけど、兄さんは奥手だなぁ」

 朔人はぷっと肩を震わせた。


「私は副社長とそういう関係じゃありませんから……」

 美琴は目を逸らして下を向く。
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