干物のミカタ ~副社長! 今日から私はあなたの味方です!~
「変な事とは?」

 秘書に声をかけられ、社長はゆっくりと目を開ける。


「ん? まぁいいさ。それより、どうも最近雅也が入れあげている娘がいるらしいんだが、お前知らないか?」

「あぁ。グリーンデザインの社員のことでしょうか?」

「はっ? グリーンデザイン?! 馬鹿な。あいつは何を考えてるんだ! なんですぐにやめさせない!」

 社長は立ち上がり激しく何度もデスクを叩いた。

「いえ。場合によっては使えるかも、と思いまして」

 微動だにしない秘書の冷静な声に、社長はふんっと鼻息荒く息を吐くと、また椅子に深く腰をかける。


「そういえば、あそこの息子は雅也の同級生だったな」

「はい。今は同じく副社長になっています」

「あの時は雅也にきつく言って、無理矢理距離を取らせたが……。雅也は今回の件を知ってるのか?」

「薄々……勘づいているかと」

「そうか……」

 社長は深く息を吐くと、再び静かに目を閉じた。
< 193 / 435 >

この作品をシェア

pagetop