干物のミカタ ~副社長! 今日から私はあなたの味方です!~
 美琴が副社長室に戻ると、東と滝山がソファに座って待っていた。

 テーブルの上には、滝山が書庫でかき集めてきた資料の本が、所狭しと並べられている。


「と、友野さん。見て見て! 結構いい資料があってさ」

 滝山は美琴の姿に気がつくと、興奮しながら大きく手招きをした。

「なになに?」

 美琴は、笑顔になって小走りで近づく。


「ほお」

 その様子を静かに見ていた東が、滝山の隣で小さく声を出した。

 美琴は東の声に気がつき、隣に寄ってそっと腰をかがめる。


「……ご迷惑おかけしました」

 美琴が耳元で小さく言うと、東はにやりと口元をほころばせる。

「……で? 美琴ちゃんの本心は?」

 美琴はその顔を見た途端、頬を真っ赤にさせて口を尖らせた。

 東はもうわかっているのに、美琴の反応を楽しんでいるように見える。
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