干物のミカタ ~副社長! 今日から私はあなたの味方です!~
「ねぇ! 見たの?! 副社長」

「見た見た! さっきたまたまエントランスでね。噂通りの超絶イケメンだった!」

「うっそー!」

「いいなー。滅多にお目にかかれないんだよねー」


 きゃぴきゃぴした黄色い声が、社食内に響く。


「そういえば私、副社長秘書からの内線を部長に取り次いだんだよね。何かあるの?」

「あたし、知ってるー……」

 一人の女性社員がばっと手を上げ、みんなを手招きした。


「なになに?」

 みんなは興味津々で、テーブルの真ん中に顔を寄せ合っている。


 ――部長……?


 美琴は話が気になり、隣のテーブルで小さくなった声に、つい耳をそばだてていた。


「副社長の新プロジェクトにメンテ部から選抜メンバーを何人か参加させるんだって……」

「えっっ? 超いいじゃーん」

「副社長と仕事ができるってこと?!」

「それがね、そうでもなくって……」


 その社員は口元に人差し指を当てて、ひっそりと話し出す。
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