干物のミカタ ~副社長! 今日から私はあなたの味方です!~
「パネルに埋め込んだら、いいかも知れません」

「埋め込む?!」

 東が素っ頓狂(すっとんきょう)な声を上げた。


「実際には、埋め込むというよりは、ブナの木に合わせてパネルをくり抜く。壁面の半分だけ、ブナの木が出るように加工するんです。そうしたら壁面の一部に見えると思いませんか?」

「そうか! そうしたら壁面もより立体的に見えるな」

 部長の声に、美琴も大きく頷いた。


 五人の頭の中では、ブナの木やシカに見守られる森の神秘的な壁面のイメージが浮かんでいる。


「いけると思います!」

「う、うん!」

「そうと決まれば……」

 東のかけ声にみんなが一斉に振り向いた。


「ランチに行こうー! まずは腹ごしらえ♡」

「ちょ、ちょっと東さーん」

「さすが東くんだね」

 一斉にずっこけた部長と滝山が、笑いながら立ち上がる。

 三人はそのまま肩を組みながら、入り口に向かって歩き出した。


 ――ほんっと仲いいな……。


 美琴は三人の背中を見つめたまま、しばらくじっとしていた。
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