干物のミカタ ~副社長! 今日から私はあなたの味方です!~
「つっ……」
朔人の後頭部が壁にぶつかり、鈍い音が響いた。
それでも俊介は腕の力を緩めなかった。
「これ以上、彼女を侮辱するなら許さない。学生のお前が今ものうのうと、社内を歩いていることだって、俺は認めていないんだ」
「へ、へぇ。珍しいですね。兄さんが手を上げるなんて……」
俊介はその言葉にはっとして、掴んでいた手をぱっと離した。
朔人は首元を手で押さえ、ケホケホと咳をしながら俊介を横目で見上げる。
「兄さんは、彼女の事を言われると冷静でいられなくなるんだぁ……」
にやりとしながらシャツの襟元を治すと、今度は俊介の鼻先に人差し指を突き立てた。
「この会社の跡継ぎは僕です。まぁ兄さんは、せいぜい恋が成就するように頑張ってくださいよ」
朔人はそう言い残すと、片手を上げて去って行った。
俊介は、その後ろ姿を見ながら額に手を当てる。
――朔人相手に何熱くなってるんだ……。聞き流せばいいものを。
美琴の事になると自分を抑えられなくなる。
俊介はその事が身に染みて、大きなため息を一つついた。
朔人の後頭部が壁にぶつかり、鈍い音が響いた。
それでも俊介は腕の力を緩めなかった。
「これ以上、彼女を侮辱するなら許さない。学生のお前が今ものうのうと、社内を歩いていることだって、俺は認めていないんだ」
「へ、へぇ。珍しいですね。兄さんが手を上げるなんて……」
俊介はその言葉にはっとして、掴んでいた手をぱっと離した。
朔人は首元を手で押さえ、ケホケホと咳をしながら俊介を横目で見上げる。
「兄さんは、彼女の事を言われると冷静でいられなくなるんだぁ……」
にやりとしながらシャツの襟元を治すと、今度は俊介の鼻先に人差し指を突き立てた。
「この会社の跡継ぎは僕です。まぁ兄さんは、せいぜい恋が成就するように頑張ってくださいよ」
朔人はそう言い残すと、片手を上げて去って行った。
俊介は、その後ろ姿を見ながら額に手を当てる。
――朔人相手に何熱くなってるんだ……。聞き流せばいいものを。
美琴の事になると自分を抑えられなくなる。
俊介はその事が身に染みて、大きなため息を一つついた。