干物のミカタ　～副社長！　今日から私はあなたの味方です！～

プレゼンまでの日

「雅也さん、この前の案を元にデザイン画が完成しました。チェックしていただけますか？」

　扉のノック音と同時に、勢いよく男性社員が飛び込んできた。

　雅也はデスクの椅子から立ち上がり、すぐに手渡された資料に目を通す。


「なかなかいい出来だと思うよ。もう少し、ここのフラワーの部分の黄色を、強めにできる？」

「はい！　大丈夫です」

　社員は指摘された部分にメモを取りながら、雅也の顔を見上げた。


「正直言うと、雅也さんが現場の仕事に関わるなんて驚きました」

「そう？」

「でも、一緒に仕事ができて嬉しいです」

　少し照れた顔をする社員を見ながら、雅也も笑顔になる。


「彼らを見てたらね。俺も仲間が欲しいなって思ったんだよ」

「彼ら？」

「ううん。何でもない」

　雅也は振り返り窓の外に目を向けた。


「俺はね、本気で変えたいと思ってる。この仕事をその最初の一歩にしたいんだ。……それと」

　雅也は大きく頷く社員を振り返った。

「手に入れたいコがいるからね！」

　にこやかに笑った雅也の瞳の奥には強い光が映っていた。
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