干物のミカタ ~副社長! 今日から私はあなたの味方です!~
「それでは続きまして、トータルグリーン株式会社様お願いいたします」

 一人の男性が、雅也に一礼してから前に出る。

 さすが大手企業の社員らしく、全く物怖じしていない様子だった。


「トータルグリーン株式会社の斎藤です」

 男性の声と共にトータルのプレゼンが始まった。

「我々が今回提案するのはこちらです」

 男性がスライドに手を向け、画面にデザイン画が映し出される。

 その瞬間、会場内にはより大きな声が上がった。


 ――やっぱり! トータルはフラワーを使ってきた。


 副社長の予想通り、トータルはラストシーンを思い起こさせる華やかな装飾を入れていた。


 トータルのデザインはパネルを斜めに半分に分け、上半分にグリーンの森のイメージを、下半分に赤や黄、ピンクなどの彩り豊かなフラワーで花園を表現していた。

 またその二つの間には、鮮やかな水色のフラワーで川が流れる様子が表現されている。


「今回我が社がポイントとしたのは、映画全体を壁面装飾で演出するという事です。そして我々はこの映画のキーワードはアーシャとカイが出会った水辺だと考え、二つの境に川を表現しました」

 男性社員は拳を握りしめて力説する。

 美琴はその画像に圧倒され、目を離せなくなっていた。
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