干物のミカタ ~副社長! 今日から私はあなたの味方です!~
雅也の言葉に、美琴は息を呑み呆然としていたが、扉が開いた先にエレベーターを待つ人影があるのに気がつきはっとする。
美琴は無理やり雅也の手を離し、下を向いたまま駆け足でエレベーターを降りた。
「私、帰ります」
美琴はそのままの姿勢で小さく頭を下げると、出口に向かって走り出した。
「返事はまたゆっくり聞かせて」
背中から雅也の声が聞こえたが、美琴は振り返る事が出来なかった。
美琴は肌寒くなってきた夜風にあたりながら、一人でとぼとぼと駅までの道のりを歩いていた。
さっきからスマートフォンが着信を告げているが、今はそれを鞄から取り出すことすらもできない。
それ程、雅也の突然の告白は美琴を動揺させていた。
美琴は今までの人生、恋愛とは無縁で生きてきた。
自分が誰かに抱く密かな恋心はあっても、それをあんな風に正面からぶつけられた事はない。
こんな時どうしたら良いのか全く免疫がなく、美琴の頭の中は軽くパニックになっていた。
それでも気になるのは『今度は俺を励まして』と言った時の、雅也のあの悲し気な瞳。
――私は水上さんのSNSにずっと励まされてきた。その人が私に助けを求めてる……。どうしたらいいの?
美琴はつぶやきながらそっと夜空を見上げた。
美琴は無理やり雅也の手を離し、下を向いたまま駆け足でエレベーターを降りた。
「私、帰ります」
美琴はそのままの姿勢で小さく頭を下げると、出口に向かって走り出した。
「返事はまたゆっくり聞かせて」
背中から雅也の声が聞こえたが、美琴は振り返る事が出来なかった。
美琴は肌寒くなってきた夜風にあたりながら、一人でとぼとぼと駅までの道のりを歩いていた。
さっきからスマートフォンが着信を告げているが、今はそれを鞄から取り出すことすらもできない。
それ程、雅也の突然の告白は美琴を動揺させていた。
美琴は今までの人生、恋愛とは無縁で生きてきた。
自分が誰かに抱く密かな恋心はあっても、それをあんな風に正面からぶつけられた事はない。
こんな時どうしたら良いのか全く免疫がなく、美琴の頭の中は軽くパニックになっていた。
それでも気になるのは『今度は俺を励まして』と言った時の、雅也のあの悲し気な瞳。
――私は水上さんのSNSにずっと励まされてきた。その人が私に助けを求めてる……。どうしたらいいの?
美琴はつぶやきながらそっと夜空を見上げた。