干物のミカタ ~副社長! 今日から私はあなたの味方です!~
会社に着くと、すでにエントランスは閉鎖された時間になっており、裏口から守衛室に声をかけて入る。
焦る手で何度もエレベーターの上ボタンを押した。
――早く来て!
こういう時程、ゆっくりとした機械の動きにイライラすることはない。
やっとの思いでフロアに到着し、美琴が副社長室に駆け込むと、副社長のデスクに集まっていたみんなが一斉に顔を上げた。
「と、友野さん!」
滝山の悲鳴にも似た声が聞こえる。
「干物、ちょっと困った事になったぞ……」
珍しく困惑した声を出す部長の様子に、美琴は背筋がゾッとするのを覚えながらそろそろとデスクに近づいた。
椅子に腰かけている副社長は、戸惑いを浮かべた表情で、美琴にパソコンの画面を示した。
「え……」
その画面を覗き込んだ美琴は一瞬何が起こったのかわからずに立ち尽くした。
それはグリーンデザインの全社員へ向けた一斉メールだった。
“トータルグリーンへの引き抜きの黒幕?!”
その文字と共に添付された写真は、ついさっきあのエレベーターで美琴が雅也に手を握られている瞬間のものだった。
「嘘……なんで……?」
どうしたらこんな事が起きるのか。
美琴は次々と心に降りかかる出来事について行けず、目を閉じてその場にへたり込んだ。
焦る手で何度もエレベーターの上ボタンを押した。
――早く来て!
こういう時程、ゆっくりとした機械の動きにイライラすることはない。
やっとの思いでフロアに到着し、美琴が副社長室に駆け込むと、副社長のデスクに集まっていたみんなが一斉に顔を上げた。
「と、友野さん!」
滝山の悲鳴にも似た声が聞こえる。
「干物、ちょっと困った事になったぞ……」
珍しく困惑した声を出す部長の様子に、美琴は背筋がゾッとするのを覚えながらそろそろとデスクに近づいた。
椅子に腰かけている副社長は、戸惑いを浮かべた表情で、美琴にパソコンの画面を示した。
「え……」
その画面を覗き込んだ美琴は一瞬何が起こったのかわからずに立ち尽くした。
それはグリーンデザインの全社員へ向けた一斉メールだった。
“トータルグリーンへの引き抜きの黒幕?!”
その文字と共に添付された写真は、ついさっきあのエレベーターで美琴が雅也に手を握られている瞬間のものだった。
「嘘……なんで……?」
どうしたらこんな事が起きるのか。
美琴は次々と心に降りかかる出来事について行けず、目を閉じてその場にへたり込んだ。