干物のミカタ　～副社長！　今日から私はあなたの味方です！～

抵抗

　俊介が社長室の扉をノックすると、夜遅い時間だというのに中から朔人が顔を出した。

「あれ？　結構早かったですね……」

　朔人は意味深な言葉を口にする。


「俊介か？！　これは一体どういうことだ」

　俊介の姿を確認するなり、いきなり怒鳴り声が響いた。

　デスクの上には、先ほどの一斉メールを印刷した紙が置いてある。

　俊介は、美琴の姿を映しだしたその紙を、チラッと見てから社長に目を移した。

「これは明らかな嫌がらせです……」

　俊介は社長にそう言いながら横目で朔人に目をやると、朔人はさも楽しそうにほほ笑んでいる。


「嫌がらせ？！　お前のプロジェクトメンバーが、こんな写真を撮られるような事をしていたという事実だけで十分だ。もうお前には子会社に行ってもらう。この社員にも責任を取らせる」

　社長は聞く耳を持たないという様子で、俊介に向かって出て行けという仕草を取った。


「待ってください！」

　俊介は社長に駆け寄り、デスクに両手をついて身を乗り出す。

「プロジェクトは、映画PRイベントの壁面装飾の仕事を獲得したばかりです」

　そして椅子に座る社長の顔を、鋭く睨みつけた。
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