干物のミカタ ~副社長! 今日から私はあなたの味方です!~
「これはプライベートな事情で、社員の引き抜きとは別問題です。引き抜きの首謀者は他にいます」
俊介は、床に落ちたその紙をそっと手に取ると顔を上げた。
「ほお。それは誰だ?」
社長は手で顎を触りながら、訝しげに俊介を見る。
「今は証拠が不十分で言えません……」
下を向く俊介の様子に、社長はふんっと大きな音を立てて息を吐いた。
「お父さん。兄さんは、彼女のことを気に入ってるみたいなんですよねぇ」
朔人が嫌味ったらしく口を挟み、社長は何も言わずに腕を組んだ。
しばらくして社長は、組んでいた腕をゆっくりとほどき口を開く。
「ではこうしよう。お前とこの社員の処遇については、壁面装飾が終わったのちに判断する。この社員が引き抜きに無関係と言うなら、その時までに首謀者の証拠を提示しろ。それが出来なければ、二人に責任を取ってもらう」
朔人が両手を腰に当て、隣で大袈裟に首を振っている。
社長の提示した条件に、俊介は首の皮が一枚つながったような安堵感を覚えた。
――とりあえずは、これで先に進める……。
俊介は、床に落ちたその紙をそっと手に取ると顔を上げた。
「ほお。それは誰だ?」
社長は手で顎を触りながら、訝しげに俊介を見る。
「今は証拠が不十分で言えません……」
下を向く俊介の様子に、社長はふんっと大きな音を立てて息を吐いた。
「お父さん。兄さんは、彼女のことを気に入ってるみたいなんですよねぇ」
朔人が嫌味ったらしく口を挟み、社長は何も言わずに腕を組んだ。
しばらくして社長は、組んでいた腕をゆっくりとほどき口を開く。
「ではこうしよう。お前とこの社員の処遇については、壁面装飾が終わったのちに判断する。この社員が引き抜きに無関係と言うなら、その時までに首謀者の証拠を提示しろ。それが出来なければ、二人に責任を取ってもらう」
朔人が両手を腰に当て、隣で大袈裟に首を振っている。
社長の提示した条件に、俊介は首の皮が一枚つながったような安堵感を覚えた。
――とりあえずは、これで先に進める……。