干物のミカタ ~副社長! 今日から私はあなたの味方です!~
「朔人の反応からして、今回のメール騒動は朔人の単独行動だと思われます。専務が関わっていたら“引き抜き”を公にするようなことはしない……」
俊介は部長の様子を見ながらも、あくまで冷静に話を続けた。
「私もそう思います。メールの発信元はアルバイト用に作っているアカウントからでした。使用端末は朔人さんが普段使っている社長室設置のパソコンです」
「やはり。となると、今回のメール騒動で、引き抜きの件を社長も含む多くの社員が知る事となり、専務は焦っているはずです。しばらく動きは止まるかも知れない」
「そうなると、余計に証拠を掴みにくくなりますね……」
部長は大きくため息をついている。
俊介も腕を組み、じっと机の上を見つめた。
今までの調査で唯一見つけたのは、見積りのファイルに専務のアカウントがアクセスしていた、という事実だけだ。
その見積りがトータルに流れた、という証拠にはならない。
――雅也自身は見積りの事を知らなかった。でもトータルがうちの見積りを手に入れたことは確か。雅也から何か聞き出せれば……。
「干物もそろそろ限界だろうな……」
部長のつぶやく声を聞きながら、俊介は無理に笑顔を作って出て行った美琴の姿を思い出していた。
俊介は部長の様子を見ながらも、あくまで冷静に話を続けた。
「私もそう思います。メールの発信元はアルバイト用に作っているアカウントからでした。使用端末は朔人さんが普段使っている社長室設置のパソコンです」
「やはり。となると、今回のメール騒動で、引き抜きの件を社長も含む多くの社員が知る事となり、専務は焦っているはずです。しばらく動きは止まるかも知れない」
「そうなると、余計に証拠を掴みにくくなりますね……」
部長は大きくため息をついている。
俊介も腕を組み、じっと机の上を見つめた。
今までの調査で唯一見つけたのは、見積りのファイルに専務のアカウントがアクセスしていた、という事実だけだ。
その見積りがトータルに流れた、という証拠にはならない。
――雅也自身は見積りの事を知らなかった。でもトータルがうちの見積りを手に入れたことは確か。雅也から何か聞き出せれば……。
「干物もそろそろ限界だろうな……」
部長のつぶやく声を聞きながら、俊介は無理に笑顔を作って出て行った美琴の姿を思い出していた。