干物のミカタ ~副社長! 今日から私はあなたの味方です!~
 副社長と合流した美琴達は、イベント会社の人に挨拶をして会場を後にした。

 明日は朝一で美琴と滝山がメンテナンスのために来場し、夕方のイベントが終了したらすぐ撤収となる予定だ。


 会社へと戻る車の中、運転席の副社長がハンドルに手をかけたまま美琴を振り向く。

「本当に満足のいく仕事ができましたね。担当の方が友野さんのこと、褒めてましたよ」

「嬉しいです。すごく、充実してました……」

 美琴は副社長にほほ笑むと、前を走る車をぼんやりと見つめた。


 前を行く部長が運転するバンには東と滝山が乗っている。

 その動きを目で追いながら、美琴はつい深く息をついた。


「どうしました?」

 副社長がその様子に気がついたのか声をかける。

「あの……」


 美琴はこの後、雅也と会う事を伝えるべきか正直迷っていた。

 副社長は美琴が雅也から告白されたことを知らない。


 ――でも、内緒で会うようなことはしたくない……。


 美琴は意を決して目線を上げた。



「あの……今日この後、水上さんに会います」

「え?」

 前を向いたままの副社長から戸惑いが伝わってくる。


「あんな写真が出た後で、さらに疑いをかけられるような事してるって、わかってはいるんですけど……」

 美琴は膝の上の両手をぎゅっと握った。
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