干物のミカタ ~副社長! 今日から私はあなたの味方です!~

副社長秘書 東健太

「副社長のプロジェクトメンバーって、干物ちゃんとコミュ障くんだって!」

「まじ?!」

「こりゃ、最初から潰す気マンマンだわ」

 フロアの奥からは、コソコソと話す社員達の声がしている。


「聞こえてるっつーの」

 美琴は机の引き出しを開け、ガサガサと雑に荷物をダンボールに詰め込んだ。


 今日から突然、副社長室付になり、デスクも副社長室に移動になった。

 今まで美琴が担当していた顧客も、特に引継ぎもなしで、全て他のスタッフに振り分けられるそうだ。


「さ、先に行ってるね……」

 滝山が美琴に小さく声をかけ、そそくさと歩き出す。

「え?! 待ってよー」

 美琴も慌てて段ボール箱を抱え、滝山に続きエレベーターに飛び乗った。
< 29 / 435 >

この作品をシェア

pagetop