干物のミカタ ~副社長! 今日から私はあなたの味方です!~
 そうこうしている間にも、手はだんだんと(しび)れて感覚がなくなる。

 限界まで伸びた両腕に、自分の全体重と地球の重力がひしひしと伝わって来た。


「こんなことならダイエットしとくんだった」

 そんな美琴を照らすかの様に柔らかな光が差し込んできた。


「ありゃ後光(ごこう)だね。仏様の後光……」


 ついに自分の前にもお迎えが来てしまったのか。

 ――明日の朝刊の一面トップを飾れるかな……。

 ぼんやりとそんな事を考えながら、慌てて首を振る。
 

「いやいや! んなこと考えてる場合じゃない……」


 このままじゃ本気で新聞に載ってしまう。

 それも地方版の片隅に……。


 そして美琴ははっとしてさらに青ざめた。

「わ、忘れてた……。今ここで死んだら部長に殺される……。って、死んでるんだから殺せないけど……とにかくまずい!!」
< 3 / 435 >

この作品をシェア

pagetop