干物のミカタ ~副社長! 今日から私はあなたの味方です!~
「まず一案目はこれです」

 そう言いながら俊介の前に置いたデザイン画は、芝生が広がる原っぱのイメージだった。

「グランピングって言うと、やっぱり一番イメージするのはキャンプ場です。なのでシンプルに、芝生の広がった原っぱに印象的なシンボルツリーを後方に設置する案です」

 美琴はそのデザイン画を見ながら、俊介との初めての営業の時に連れて行ってもらった公園を思い出していた。


 ――風景式庭園って言ってたよね。爽やかな印象。


「これだけだと、シンプル過ぎないか?」

 部長の言葉に胡桃が眉間に皺を寄せ、瑠偉が慌てて部長を肘で突っついた。


「胡桃ちゃん、二案目は?」

 美琴が言葉を挟み、胡桃はまた咳ばらいを一つしてから紙を差し替えた。

「二案目はこちらです。これは森の湖畔をイメージしています。雑木林の様な高い木を後方に設置して、前方には湖を作ります」

 胡桃の説明を聞きながら、美琴は頬杖をつく。


 ――あぁ、これはあの渓谷のイメージに近い。素敵だろうな。


「どちらの案も、ラグジュアリーな印象を強めるために、照明はランプを設置するのが良いかなと思ってます。たぶんドームなので、会場内は少し(もや)がかかったような感じだと思うので」
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