干物のミカタ ~副社長! 今日から私はあなたの味方です!~
カップの行方
新しいフロアは、メンテナンス部の隣に準備されていた。
部長が一番奥の上長席に座り、奥から美琴と滝山、その向かいに瑠偉と胡桃のデスクが置いてある。
五人だけの小さな島だ。
「これからメンバーも増えるってのは、すぐなんすか?」
瑠偉が荷物を片付けながら、部長を振り返った。
「いや、すぐには考えてない。まずは二か月後に迫った展示会を、全力で乗り切ってからだな」
部長はパソコンの配線をつなぐためか、デスクの下に潜り込んだままで答える。
「あれ? おかしいな。この線どこに繋がってるんだ……?」
部長の独り言が漏れ聞こえた。
「私、上から引っ張りましょうか?」
美琴は、部長のデスクに回り込み声をかける。
「すまん。頼む」
配線を引きながら、美琴はふと机の上に目をやった。
――あれ? そういえば……部長のカップって。
今、机に置いてあるカップは、メンテナンス部の時に部長が使用していたものだ。
あの渓谷、コバルトブルーの滝つぼの風景画が描かれたカップは、どこにも見当たらない。
部長が一番奥の上長席に座り、奥から美琴と滝山、その向かいに瑠偉と胡桃のデスクが置いてある。
五人だけの小さな島だ。
「これからメンバーも増えるってのは、すぐなんすか?」
瑠偉が荷物を片付けながら、部長を振り返った。
「いや、すぐには考えてない。まずは二か月後に迫った展示会を、全力で乗り切ってからだな」
部長はパソコンの配線をつなぐためか、デスクの下に潜り込んだままで答える。
「あれ? おかしいな。この線どこに繋がってるんだ……?」
部長の独り言が漏れ聞こえた。
「私、上から引っ張りましょうか?」
美琴は、部長のデスクに回り込み声をかける。
「すまん。頼む」
配線を引きながら、美琴はふと机の上に目をやった。
――あれ? そういえば……部長のカップって。
今、机に置いてあるカップは、メンテナンス部の時に部長が使用していたものだ。
あの渓谷、コバルトブルーの滝つぼの風景画が描かれたカップは、どこにも見当たらない。