干物のミカタ ~副社長! 今日から私はあなたの味方です!~
「いや、是非お願いしますよ。由紀乃は都会には不慣れで。いいな、由紀乃」
「はい。嬉しいです……」
鷺沼社長の言葉に、由紀乃はさらにぽっと頬を紅潮させて頷く。
「夜は鷺沼さんもご一緒にと、店を取ってあるから、お前たちは後から合流しなさい」
父の提案に俊介は、一瞬大きく天井を仰ぎそうになる。
――夜……か。
ついさっき美琴を送って行くと約束したばかりなのに、もう反故にしなければならないのか。
俊介は、激しくため息をつきそうになるのをぐっと堪えた。
「わかりました」
そう小さく答えると、俊介は一旦目の前の二人に頭を下げすっと席を立つ。
「無愛想な息子ですみませんな」
「いやいや、男はそれぐらいの方が良いですよ。由紀乃、俊介さんにご迷惑かけるんじゃないぞ」
「はい、お父様。野田社長、行って参ります」
俊介はその会話を背中で聞きながら、社長室の扉をぐっと開ける。
「どうぞ」
俊介が顔を向けると、由紀乃は恥じらいながらゆっくりと歩み寄った。
由紀乃の長い髪と水色のワンピースの裾が揺れ、ふわっと甘い香りが俊介の鼻先をかすめる。
その瞬間、俊介はたまらなく美琴に会いたいと思っていた。
「はい。嬉しいです……」
鷺沼社長の言葉に、由紀乃はさらにぽっと頬を紅潮させて頷く。
「夜は鷺沼さんもご一緒にと、店を取ってあるから、お前たちは後から合流しなさい」
父の提案に俊介は、一瞬大きく天井を仰ぎそうになる。
――夜……か。
ついさっき美琴を送って行くと約束したばかりなのに、もう反故にしなければならないのか。
俊介は、激しくため息をつきそうになるのをぐっと堪えた。
「わかりました」
そう小さく答えると、俊介は一旦目の前の二人に頭を下げすっと席を立つ。
「無愛想な息子ですみませんな」
「いやいや、男はそれぐらいの方が良いですよ。由紀乃、俊介さんにご迷惑かけるんじゃないぞ」
「はい、お父様。野田社長、行って参ります」
俊介はその会話を背中で聞きながら、社長室の扉をぐっと開ける。
「どうぞ」
俊介が顔を向けると、由紀乃は恥じらいながらゆっくりと歩み寄った。
由紀乃の長い髪と水色のワンピースの裾が揺れ、ふわっと甘い香りが俊介の鼻先をかすめる。
その瞬間、俊介はたまらなく美琴に会いたいと思っていた。