干物のミカタ ~副社長! 今日から私はあなたの味方です!~
健太は話を聞きながら、静かに顔を上げる。
「社長は俊介の何を、ご覧になっていたのですか?」
「なんだと?」
「別に俊介は、自分の力を試したくて仕事しているんじゃない。自分の両親が作った大切な会社を、守りたいだけなんだ。そして自分の大切な人と仲間を、社員を守りたいってそう思ってる。ただそれだけなんですよ!」
健太の訴えに社長は少し驚いた顔を見せていたが、何も言わずに眉間に皺を寄せたまま目を閉じた。
「とりあえず、お話だけは伺いました。失礼します……」
健太は深く頭を下げると、そのまま社長室を出た。
扉のバタンと閉まる音が廊下に響く。
シーンとして人の歩いていない長い廊下で、健太は壁に手をついて下を向いた。
――俺に、どうしろって言うんだよ……。
健太の頭には緑化事業部として、五人で楽しく仕事をしていた日々が思い出されていた。
俊介も美琴も、みんな笑顔だったあの頃。
――もう、遠い昔みたいだ……。
健太は目頭を押さえながら、エレベーターに乗り込んだ。
「社長は俊介の何を、ご覧になっていたのですか?」
「なんだと?」
「別に俊介は、自分の力を試したくて仕事しているんじゃない。自分の両親が作った大切な会社を、守りたいだけなんだ。そして自分の大切な人と仲間を、社員を守りたいってそう思ってる。ただそれだけなんですよ!」
健太の訴えに社長は少し驚いた顔を見せていたが、何も言わずに眉間に皺を寄せたまま目を閉じた。
「とりあえず、お話だけは伺いました。失礼します……」
健太は深く頭を下げると、そのまま社長室を出た。
扉のバタンと閉まる音が廊下に響く。
シーンとして人の歩いていない長い廊下で、健太は壁に手をついて下を向いた。
――俺に、どうしろって言うんだよ……。
健太の頭には緑化事業部として、五人で楽しく仕事をしていた日々が思い出されていた。
俊介も美琴も、みんな笑顔だったあの頃。
――もう、遠い昔みたいだ……。
健太は目頭を押さえながら、エレベーターに乗り込んだ。