干物のミカタ ~副社長! 今日から私はあなたの味方です!~
「俊介の肩には、これから会社と多くの社員の生活がかかってくる。いくら俊介が、抵抗したとしても難しい状況なんだよ。もしかしたら、俺は二人を応援できなくなるかも知れない……」

 美琴は健太の言葉にショックを受け、胸が張り裂けそうになる。

 いつだって健太は、俊介の側で支えてくれていた存在だった。

 でもその健太が『応援できなくなる』と言うほど、状況が悪いということだけが、美琴には理解できていた。


「私は……どうしたら良いんですか?」

 美琴は消え入りそうな声を出す。

 健太はしばらく何も言わずに、そのまま下を向いていた。

「あのさ、美琴ちゃんは、俊介の一番の味方でしょ?」

 だいぶ時間が経ってから、健太はゆっくりと口を開く。


「だったら最後まで信じて、一緒に抵抗してあげてくれないかな。これから美琴ちゃんには、辛いことの方が多いかも知れない。でも、俊介はタダで転ぶつもりはないと思うよ。あの泥船みたいにね」

 健太の寂しそうにほほ笑む顔の後ろからは、柔らかい光が差しこんでいる。

 美琴はその光を見つめながら、不安でいっぱいの心を押し込むように小さく頷いた。
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