干物のミカタ ~副社長! 今日から私はあなたの味方です!~

展示会まで二週間

 それから二週間、美琴は展示会の準備に没頭していた。

 俊介の結婚の噂は社内中で広がり、今ではもうすぐ婚約という話までささやかれるようになっている。

 そんな中、緑化事業部のみんなは美琴に気を使ってか、俊介の話題は一切出さないでいてくれた。

 そのおかげで、仕事だけに気持ちを注ぐ事ができている。


 俊介からは、変わらずに時々夜中にメッセージが届いている。


 ――今日が最後かも知れない。


 メッセージの着信を見つける度、美琴はそう思いながら祈るような気持ちで画面をタップしていた。

 それでもメッセージの中の俊介は、今までと何も変わらず美琴を気づかって優しかった。

 その優しさに触れる度、涙がとめどなく溢れてくる。

 美琴はいつか止まるかも知れない俊介からの連絡を、宝物のように一つ一つ大切に胸にしまっていた。



「いよいよ展示会まで二週間だ。ミスは許されないからな。みんな気合入れろよ」

 緑化事業部では、朝から部長の大きな声が響いている。

 「はい」という返事と共に、それぞれがせわしなく準備に入った。


「もう一度、使う植物の入荷日と時間を、確認しておいて良いですか?」

 美琴がリストを表示させながら、部長に声をかける。

「卸問屋は数社あるから、時間はバラバラだな。全て来週の金曜日着だ」
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