干物のミカタ ~副社長! 今日から私はあなたの味方です!~
ひとりひとりの想い
「ぼ、僕もそろそろ、温室に行ってきます」
滝山が部長に声をかけ立ち上がろうとした時、フロアの扉が勢いよく開かれた。
息を切らしながら飛び込んできた俊介の姿に、一瞬滝山と部長は顔を見合わせる。
「友野さんは? 友野さんはどこですか?」
つかつかと部長のデスクの前に来る俊介を見ながら、部長はゆっくりと立ち上がった。
俊介の切羽詰まった様子に、滝山が戸惑いながら口を開く。
「と、友野さんなら、壁面装飾のメンテナンスをしてから温室に行くって、さっき出て行きましたけど……」
俊介は滝山の言葉を聞くと、すぐに身をひるがえそうとする。
その時、咄嗟に部長が俊介の腕を掴んだ。
「部長……?」
俊介は首を傾げながら、部長を振り返る。
「副社長。あなたの今の状況は、何となく噂で聞いています。当然、干物の耳にも入ってる」
「だから、話をしに……」
部長は掴んだ腕を離すと、俊介に向き直った。
「干物はただの女の子です。どこぞの大企業のお嬢様とは違う。一人で抱えるには話が大きすぎるんですよ」
「どういう意味ですか……?」
俊介は部長の意図を推し測るように、静かに声を出した。
「副社長だってわかってるでしょう。今は展示会前の大事な時期です。この仕事にミスは許されない」
滝山が部長に声をかけ立ち上がろうとした時、フロアの扉が勢いよく開かれた。
息を切らしながら飛び込んできた俊介の姿に、一瞬滝山と部長は顔を見合わせる。
「友野さんは? 友野さんはどこですか?」
つかつかと部長のデスクの前に来る俊介を見ながら、部長はゆっくりと立ち上がった。
俊介の切羽詰まった様子に、滝山が戸惑いながら口を開く。
「と、友野さんなら、壁面装飾のメンテナンスをしてから温室に行くって、さっき出て行きましたけど……」
俊介は滝山の言葉を聞くと、すぐに身をひるがえそうとする。
その時、咄嗟に部長が俊介の腕を掴んだ。
「部長……?」
俊介は首を傾げながら、部長を振り返る。
「副社長。あなたの今の状況は、何となく噂で聞いています。当然、干物の耳にも入ってる」
「だから、話をしに……」
部長は掴んだ腕を離すと、俊介に向き直った。
「干物はただの女の子です。どこぞの大企業のお嬢様とは違う。一人で抱えるには話が大きすぎるんですよ」
「どういう意味ですか……?」
俊介は部長の意図を推し測るように、静かに声を出した。
「副社長だってわかってるでしょう。今は展示会前の大事な時期です。この仕事にミスは許されない」