干物のミカタ ~副社長! 今日から私はあなたの味方です!~
「あの、質問なんですけど……」

「どうぞ」

「なんで副社長の座から、引きずり下ろされそうになってんですか?」

「おもしろい事質問しますね。みんな察しはついてると思うんですが」

 副社長は、少し笑みを浮かべながら、首を傾げて美琴を見る。


「噂はウワサです。本当のとこが見えないっていうか……」

「まぁ、お家騒動はそれとして。なんの実績もない僕が、急に副社長としてやってきたのが、面白くない人たちがいたってとこでしょうか」

「それは弟さんが、副社長になったって同じでしょ?」

「弟はこの会社の権力にしか興味がない。僕はヘンに会社自体に興味があった。操作しづらかったんでしょう。みんな変化には臆病ですから」

「なんですか、それ?! 上層部は自分の事しか考えてないって事ですか?」

「組織なんてそんなもんですよ」

 副社長はそう言い捨てると、サッと美琴から目線をそらした。


 ポンという音と共に、エレベーターの扉が静かに開く。
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