干物のミカタ ~副社長! 今日から私はあなたの味方です!~
「グリーンデザインインターナショナルの友野と申します。注文している商品の納品時間について伺いたいのですが、ご担当の方は……」

 電話はしばらく保留音のまま、なかなか担当者に繋がらない。

 美琴は滝山に手で画面を指し、他の業者にも問い合わせるように合図した。


 するとすぐに隣から、滝山の悲鳴にも似た声が聞こえてくる。

「ど、どういうことですか?! 今日は、納品できないって、り、理由は?!」

 ガチャンと大きな音が受話器越しに聞こえ、滝山は茫然としている。

 美琴は、依然保留のままの自分の電話を一旦電話機に戻した。


「部長……」

 その様子を腕を組んで見ていた部長は、眉間に皺を寄せてから一旦目を閉じる。

「裏で誰かが手を回してる……か」


 美琴は全身の血の気が引くように、頭が真っ白になっていた。

 倉庫から呼び戻された胡桃と瑠偉も混ざり、五人は打ち合わせスペースに移動する。

 机の上には、今日植物を納品予定だった業者のリストと、部長が以前作成した卸問屋のリストが置いてあった。

「現状は、納品予定の業者全てから植物が届いていないという事。理由は様々だが、共通しているのは事前の連絡は一切なしで、当日ドタキャンという事だ……」

 部長は唸るように息を吐くと、しばし額に手を当てる。
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