干物のミカタ ~副社長! 今日から私はあなたの味方です!~
「取りあえず、滝山と内田は温室に行け。宮さんに相談して、使える植物を全てかき集めるんだ」

 二人が頷いて温室に向かうのを確認すると、部長はさらに胡桃を振り返った。

「山本。温室の植物だけで対応するようになった場合、湖畔のイメージは作れない。デザインの作り替えが必要になる。最悪、温室の植物だけで対応できるデザイン案を今すぐ作ってくれ」

「わかりました!」

 胡桃は返事をすると、すぐにデスクに飛んでいく。


「干物は俺と一緒に、手あたり次第業者に連絡する。少しでも展示会に使える植物をかき集める」

「はい」

 美琴もすぐにデスクに戻り、部長の卸問屋リストを元に順に電話をかけ出した。


「……そうですか。わかりました」

 受話器を置いた美琴はふと手を止める。


 ――おかしい……。みんなうちから電話が来るのを知っていて、断っているように感じる。


 美琴は首を傾げながら部長を振り向くと、受話器を置いた部長と目が合った。

「お前もおかしいと思うか?」

「はい」

「俺のリストはきっと全滅だ。電話をしても無駄だな……」

「どういう事ですか?!」

「前にこのリストを見られた形跡があった」

「誰に?!」

 部長は大きく息を吐くと、唸ったまま口ごもった。
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