干物のミカタ ~副社長! 今日から私はあなたの味方です!~

最大の攻撃

「あの、確認なんですが。これって社内の誰かが、嫌がらせをしてるって事ですか……?」

 胡桃が小さく手を上げながら、つぶやくように言う。

「……だろうな」

 部長は、ぶっきらぼうにそう答えると天井を仰いだ。

「誰が?! こんな事、許されるんすか?!」

 瑠偉が憤慨した様子で、机をバンと叩いている。


 美琴は静かに下を向いた。

 今までにも、散々同じような攻撃を受けてきた。


 ――その度に乗り越えてきた。でも……。


「今回は、規模が大きすぎるな」

 部長はそう言いながら、美琴の顔をチラッと見る。


「何の目的でこんな事するんですか?」

「社内で潰し合いなんて、おかしいっすよ!」

 今までの事情を知らない胡桃と瑠偉が、こういう反応をするのは当然のことだ。

 その時、部長が軽く手を上げて、二人は一旦口をつぐむ。


「これだけ大掛かりな嫌がらせとなると……ターゲットは干物、お前と副社長だな」

 部長の言葉に、みんなの視線が一気に美琴に注がれる。

「相手はわかってるんだよ。お前を攻撃することが、副社長に一番ダメージを与えられるって……」

 美琴が背筋に冷たい汗が流れる感覚に襲われた時、静かにフロアの扉が開いた。
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