干物のミカタ ~副社長! 今日から私はあなたの味方です!~
「どうかしたか?」

「いや、珍しいなと思って。俊介がそんな風に笑うの、久しぶりに見た」

「え?」

「昔はよく笑ってたのにさ。最近は俺の前でも、ほとんどそんな顔しなくなってたから」

「そうかな……」


 俊介は立ち上がり、デスクの後ろの窓から見える夜景を眺めた。

 足元には、夜も更けた都会の街並みが広がり、ちらちらとネオンが瞬いている。


「久々に、面白いことがあったなと思って」

「ん?」

「もしかしたら、部長は……」

「え?」

 健太が不思議そうな顔で、俊介の様子を伺っている。


「いや、思い違いかな……」

「さっきから、なんの話だよ?」

 健太は訳がわからない、という顔をして、机の上の資料を片付けだす。



「いい人選してるよ……部長」


 窓ガラスには、楽しそうにふっと目を細める、俊介の顔が映っていた。
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