干物のミカタ　～副社長！　今日から私はあなたの味方です！～
「植物の手配はできたって、俊介さんから連絡がありましたわ。そんなになるまで必死に……本当に健気ですね」

「どういう意味ですか……？」

　美琴は由紀乃の言葉に眉をひそめる。

「いいえ。褒めてるんですよ。私もそういう姿勢は見習わなくてはと思って」


　笑顔でそう言いながらも、由紀乃はツンと美琴から目を逸らす。

　美琴は、由紀乃の明らかに敵意のある態度に、戸惑って下を向いた。


「あなたにちゃんとお伝えしておこうと思いまして……」

　由紀乃はそう言うと、ゆっくりと美琴を振り返った。


「私、正式に俊介さんと婚約するんです。今日は野田社長と、そのお話をするために参りましたの」

「え……？」

　顔を上げた美琴は、由紀乃の言葉に心臓がドクンドクンと激しく波打ちだす。


「ですからもうあなたには、今後一切、俊介さんの前に姿を見せないで欲しいんです」

　由紀乃は美琴の瞳を、じっと睨みつけるように覗き込む。


「俊介さんにはもう二度と、個人的に会わないと、この場で約束してくださいませんか？」

　由紀乃はさらに小さく首を傾げた。

「お約束していただかないと私も困ってしまいますの。だってここは、あなたたちの大切な会社ですものね」

　由紀乃の含みをもった笑顔に、美琴は目の前が真っ黒になった。
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